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丹野まさよしとがんばり隊

丹野まさよしとがんばり隊

第2回復興調査特別委員会中間報告


     東日本大震災復興調査特別委員会 第2回中間調査報告
 
調査事項の検討結果

(1)閖上地区被災市街地復興土地区画整理事業及び閖上地区防災集団移転促進事業について
閖上地区被災市街地復興土地区画整理事業については、第1回中間報告した昨年9月以降も鋭意調査を継続してきた。

これまで、市当局からの聞き取り調査により事業内容の理解を深めてきたが、特に11月以降は、「北釜地区防災集団移転協議会」や「閖上地区在宅被災者‘どうなる我が家,勉強会」など地域における団体等との懇談会を開催し、被災された地域住民の声を積極的に聴取した。
また、これらに関する請願や陳情も行われ、本調査特別委員会が付託や要請を受け調査を行った。

 請願は、平成24年11月に「名取市震災犠牲者を悼む会」から「東日本大震災における名取市閖上地区の被害について第三者による検証委員会を設置し、原因究明を求めることについての請願書」が提出された。請願審査においては、議会基本条例に基づき請願者の意見陳述の機会を設け、請願趣旨を聞くなど調査に取り組んだ。審査経過を踏まえ採決の結果、全会一致で願意妥当と認めた。
 この結果を受け名取市は、第三者機関である「東日本大震災第三者検証委員会」を設置し、去る8月26日に第1回目の検証委員会を開催した。検証委員会は、年度内に報告書を提出したいとしている。

次に、平成25年2月に「新生なとり市民の会」から「閖上地区被災市街地復興土地区画整理事業に関する集団移転先を区画整理区域外に求める請願書」が提出された。市当局から説明を求めるとともに、5回の本調査特別委員会を開催し、慎重に審査を進め採決を行った結果、賛成少数で不採択と決した。

 陳情は、「新生なとり市民の会」、「名取市商工会」、「閖上復興早期実現の会~早ぐすっぺ閖上復興~」などの団体から受け、市当局からの聞き取り調査を含め慎重に調査を進めた。本調査特別委員会としては、陳情者の思いをしっかりと受け止め対応するべきであることを市当局に要請した。
 なお、請願、陳情についての結果は、P4~P5の別表に記載したとおりである。

 また、市当局は、これまでの本調査特別委員会での審議を通じ、名取市復興計画に大幅な修正を加えた。
 一つ目の修正は、復興事業手法の変更である。当初、閖上の復興は、被災市街地復興土地区画整理事業一本による現地再建を目指してきたが、国からの交付金により、防災集団移転促進事業との支援の格差について解消がなされることから、平成25年4月、被災市街地復興土地区画整理事業と防災集団移転促進事業との併用により復興を目指すこととなった。

 二つ目の修正は、被災市街地復興土地区画整理事業の区域の縮小と防災集団移転促進事業区域の拡大である。
 平成25年4月から5月に実施した第2回個別面談の結果では、さらに、区画整理区域内において生活再建を希望する方が減少した。このことから、最終的に被災市街地復興土地区画整理事業の対象区域を約52ヘクタールに縮小し、防災集団移転区域を約65ヘクタールに拡大した。さらに、居住区域内の嵩上げ区域を西側に移動し約32ヘクタールに縮小した。

これらの計画案の修正を受けて、本調査特別委員会では委員間自由討議を行った。
委員からは「区画整理地内に2,400人863世帯の居住計画人口を計上しているが、納得できる根拠が示されない。」また、「人口規模が縮小されているので閖上小、中学校の学校規模の見直しが必要である。」「墓地だった場所を嵩上げして住宅地にするのは無理がある。」という意見、「安全性の面で区域内に戻りたくない人が相当いるのに配慮されていない。」「個別面談での被災者の意見を尊重していない。この計画は変更すべきである。」、といった意見が出された。
 しかし、「2年5カ月経過しても復興事業の進展が見られない状況で、このままさらに、事業申請や認可が遅れることになれば復興に大きな支障が生じる。修正案として出された計画を認め、一日も早い事業着手を目指すべきである。」という意見や、「国や県から大筋で内諾を得ている事業計画を遅滞なく申請し、防災集団移転促進事業の大臣認可を9月に、土地区画整理事業の認可を10月に受けられるようにすべきである。」という意見、「認可を得たうえで、変更すべき箇所については事業実施の中で精査し要望していくべきで、これ以上の遅れは許されない。」という意見が多数を占めた。

 このことから本調査特別委員会としては、10月中に名取市復興計画の事業認可を受けることを最優先して進めること。そのうえで、今後も被災者の声を拾い続け、実施計画の中で修正すべき点については粘り強く取り組み、実現に向けて努力されるよう市当局に提言していくこととした。


(2)下増田地区防災集団移転促進事業 
 下増田地区については、早くから、防災集団移転促進事業による復興を打ち出し、平成24年9月に北釜・広浦地区を、平成25年6月に、杉ケ袋北・杉ケ袋南地区を災害危険区域に指定し、事業を推進してきた。
 市当局では、平成25年3月に最終意向調査を実施し、4月下旬には盛土工事着手のための造成設計を行い、開発許可申請を行う予定であった。
しかし、地区協議会との調整に時間を要したこと、また、調査・設計を委託したコンサルタントの人的配置における質的、量的不足により、地盤改良工事の方針が定まらなかったことから、全体スケジュールで2ヶ月半の遅れが出ている現状にある。

 本調査特別委員会は、この現状を重く受け止め、市当局に対し、平成25年9月に全体スケジュールの提出と計画が遅れた経緯の説明を求めたところである。
そのスケジュール案によると、平成25年10月から造成工事を始め、平成26年6月末までに造成工事を完了して災害公営住宅等の建築に取りかかり、平成27年4月から順次入居を目指すとしている。
 本調査特別委員会としては、この全体スケジュールに沿った工事の進捗に努めるとともに、スケジュール管理の徹底と情報の共有を諮るよう要望していく。
また、造成工事にあたっては、日量200台から300台のトラックが市内を往来することが予想されることから、安全対策、環境対策について万全を期するよう求めていくこととした。
さらに、市当局にはこれまでの下増田地区のコミュニティーに十分に配慮したまちづくりを進めるとともに、移転する被災者の意向に寄り添い介在農地の買い取りについて検討する等、移転先での暮らしの不安を解消するよう一層の努力を望みたい。


(3)災害公営住宅整備事業 
 前回の第1回中間報告では、閖上地区の個別面談の結果として、地権者以外の方で、今後の住まいについて「災害公営住宅に移転する」は43.5%。さらに、できるならば「東部道路西側に災害公営住宅をつくって欲しい」は9.7%であった。
 また、平成25年4月から5月まで実施した2回目の閖上地区個別面談及びその後の追跡調査の結果では、土地区画整理事業区域内の災害公営住宅に入居したいが14.2%であり、区域外の災害公営住宅に入居したいと希望した人は12.4%である。これは第1回中間報告の時より、2.6ポイント上がっており、安全安心の面から区域外の災害公営住宅を希望する人の声が大きくなって来ている。

 平成25年7月に、市当局から最終的な閖上地区復興まちづくり計画が示されたが、区域外の災害公営住宅を希望している被災者は269世帯に対し、市が区域外(大曲・高柳地区)に建設を予定しているのは101戸である。それらに対して、区画整理区域外の西側に建設を要望する陳情もあげられた。
 しかし、本調査特別委員会では、計画の見直しは事業認可の遅れにつながることが懸念され、これ以上復興のスピードを遅らせることは被災者を落胆させるだけであり、まず、この計画を進め閖上地区における災害公営住宅の建設を一日も早く実現すべきであるという意見が多数をしめた。
 そのうえで、区画整理区域外の災害公営住宅の建設戸数の増加や既存の公営住宅の活用の検討を要望することとした。災害公営住宅建設の制度上の問題に関しては、国等も柔軟に対応できるとの回答もあることから、市当局は被災者の意向を十分考慮しながら、粘り強く検討と修正を重ね進めていくべきである。

 一方、先行して整備する下増田地区の災害公営住宅は、92戸が予定されているが、建設計画が遅れることのないように進捗状況を見守っていく。
 さらに、災害公営住宅建設にあたっては、名取市商工会より地元建設関連業者に発注を求める陳情も提出され、市内の約350の建設関連業者がその受け皿となる「名取市災害公営住宅建設協議会」を設立したことから、被災者のニーズに応えられる体制づくりや情報交換に努めるよう市当局に要請していく。


(4)委員会における中間報告のまとめについて
 本調査特別委員会では、昨年9月に第1回の中間報告書を提出した。その後の1年間の経過を踏まえ、今回第2回の中間報告を行うものである。
さて、平成24年7月から8月に市当局が実施した第1回目の個別面談では、市が復興計画を示した閖上地区被災市街地復興土地区画整理事業での現地再建策に対し、戻るとはっきり意思を確認できたのは約30%のみであった。 

 また、平成25年4月から5月に行われた第2回目の個別面談では、区画整理事業に加えて防災集団移転促進事業を併用した形での復興策に修正が加えられたが、区画整理地内に戻り、自宅再建と災害公営住宅に入居したい方を合わせると25.1%とさらに減少した。時間の経過とともに復興への期待感や希望が失われ、閖上に戻りたいという方は減少傾向にある。
 さらに、平成25年7月に復興計画の最終案が示されたが、その後も計画変更を求める陳情書が提出されるなど、住民の合意が得られていないことも事実である。 

 本調査特別委員会の自由討議の中では「そもそも閖上の再建を現地で行うと示した復興計画は無理があったのではなかったのか」という意見、「最初から津波の恐怖から逃れられる、海岸から離れた地域に再建区域を設ければ早く合意が得られたのではないか」という意見までもが出された。
 しかし、このまま遅々として進まない復興計画を見直し、事業認可時期をさらに延期することは容認しがたく、まずは、予定通り10月に復興計画の事業認可を得ることを重視すべきというのが、本調査特別委員会の委員の多数の意見であった。
 さらに、阪神淡路大震災での先進事例では、復興計画認可後もなんども実施計画の修正を重ねるよう提言し、被災者の要望に沿った事業を実施したという報告もあることから、本調査特別委員会としては、現復興計画を認め、早期に事業認可を得ることを優先し進めることとした。

 次に、下増田地区防災集団移転促進事業は、早くにその移転先場所が決定したところであったが、地盤改良工事をめぐりコンサルタント会社の対応の不手際から、その後の進展が遅れ、スケジュールどおりに進んでいない状況にあった。しかし、平成25年8月30日に開発許可申請を提出し、10月から造成工事に着手することとなった。
 本調査特別委員会としては、造成工事の膨大な土量輸送にかかる交通安全対策が憂慮されるため、市当局には関係者と十分な事前協議を行い、土盛り工事が安全に完成するよう要請することとした。
 また、9月4日に示された、平成26年度建築工事完了、平成27年度より順次入居という全体スケジュールを守り、事業を推進するよう強く要望していく。
また下増田地区は、震災以前は農業で生計を立てていた人が多い地区であることから、農地の活用や介在農地の買い取りも含めた問題の解決を早急に図るべく市当局に求めていく。

 災害公営住宅については、いまもなお仮設住宅で不自由な生活を強いられている被災者の実態を踏まえ、少しでも早く入居できるようにしていくことが重要である。また、入居後の家賃等への不安もある人には、その声を十分に聞き取り丁寧に対応すべきである。
 さらに、仙台東部道路の西側への災害公営住宅を望む被災者に対しては、今後ともあらゆる可能性を求めながら、要望実現に向けて対応すべきである。

 以上、本調査特別委員会に付託された3項目の調査事項について、第1回中間報告以降の調査内容と経過について記載した。

 議会基本条例で「議会は、住民自治の根幹をなす代表機関として、最良の意思決定を行うことにより、民主主義の発展と市民の福祉の向上を目指す地方自治の本旨の実現を使命とする」とあるが、今後も住民に寄り添い、被災地の一日も早い復興に向けて建設的な提言をしていくことを確認しあい、本調査特別委員会の第2回中間報告とする。


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